移入種

ヌノメカワニナ

先週の頼まれ仕事で急きょ撮影したもののうち、構成上ボツにした写真です。殻頂部のピントが甘いけど*1、時間優先モードだったので許していただきましょう。 ヌノメカワニナは日本国内に在来の個体群がいますが、本来の分布域ではない地域にも侵入して、条件…

ツボカビ病、淡水エビにも感染

カエル類に感染して、絶滅を引き起こすといわれているツボカビ病ですが、淡水産のエビ類もそのカビが感染するという話をどこかでチラッと読んで気になったので、元の論文を探しましたよ。 Rowley JJL, Alford RA, Skerratt LF (2006) The Amphibian Chytrid …

いやー、これ半生で食べるか?

BBC NEWS; Snails poison diners in Beijing http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/5271532.stm?ls お隣の国、中国でのできごとです。なにやらよく熱をとおさないで調理した貝の肉を食べて、病気になった人たちがいらっしゃるとか。確かに貝食は日本より盛んか…

2種のCrangonyx

甲殻類のヨコエビの仲間で、フロリダマミズヨコエビが日本の川に移入して増えているという話しだ。今度の陸水学会松山大会でも発表が2件ある。ヨコエビというと日本ではきれいな水の指標として使われてきたが、この種は汚染などに強くて、いろんな場所で見…

デイゴを加害するコバチの1種

昨年末に読んだ文献に、ハワイのデイゴに影響を及ぼすコバチの話し(d:id:satanii:20051227)があった。聞いたことない学名(Quadrastichus erythrinae)だとそのときは思ってたけど、最近この種についての情報が増えているgoogle:Quadrastichus erythrinae。5…

ヌノメカワニナの温度耐性

文献メモ;要約のみ仮訳です。 Mitchell AJ, Brandt TM (2005) Temperature tolerance of red-rim melania Melanoides tuberculatus, an exotic aquatic snail established in the United States. Transactions of the American Fisheries Society 134: 126-…

ヌノメカワニナを用いた生物学的防除

すみません文献メモ置き場にします。 Pointier, JP (2001) Invading freshwater snails and biological control in Martinique Island, French West Indies. Mem Inst Oswaldo Cruz, Suppl. 96: 67-74.*1 要約;カリブ海のマルチニーク島*2には過去50年間…

ヌノメカワニナ飼育中(4)

26日の日記(d:id:satanii:20051226)に『生まれたての稚貝は一丁前の模様を持っており』と書いたが、さきほど見つけた稚貝には例の模様がない。サイズも小さいようだ。ここでいくつかの可能性が考えられるが、 26日に観察した稚貝は実は数日前に生まれたもの…

アウトブレイク

テレビをつけたら映画「アウトブレイク」をやっていた。 エボラ出血熱より危険なウィルスモターバがザイールで発生したのだ。調査から帰ってきた大佐は『もっと調査すべきだ』と主張するが、『封じ込めに成功したのだろう』と担当から外される。かつて陸軍の…

自然界ではありえない組み合わせ

これまでにいろんな水生生物を飼育したことがあるが、『途中までうまく行ってたのに、ある時点から急にダメになってしまう』という経験を何度かしている。この手のつぶれてしまう原因というのは分からない場合が多い。そして、口の悪い友人から『愛情が足り…

害虫駆除のはずが在来種に寄生

それからもう1件孫引きで、やはりハワイで50年以上前にサトウキビ害虫を防除するために導入された寄生蜂が現在どうなっているか調査してみたら、カウアイ島の標高の高い湿原で在来種に対しても寄生してしまっているとの話しです。これ読んでるとやはり生…

ハワイデイゴの危機

文献サーチしていてみつけました。 雑誌サイエンスの最近の号に載った記事ですが、ハワイに侵入した蜂がハワイデイゴに寄生してしまい、本来なら花や葉がつくべき場所を変形させるなどし、種子ができない状態にしてしまっているそうです。蜂の学名を見ると聞…

ヌノメカワニナ飼育中(3)

水菜とホウレン草とに餌を置き換えたヌノメカワニナたちは気持ちが良さそうだ。やはりホウレン草での飼育は水が汚れやすく、水菜が一番よさそうだ。餌を置き換えたばかりのヌノメカワニナのうち1個体が産仔した。生まれたての稚貝は一丁前の模様を持ってお…

ヌノメカワニナ飼育中(2)

移入種ヌノメカワニナを飼育中なのだがまだ不慣れで手探り状態。小松菜やキャベツでも飼育を試みたが口にしてもらえない、ちょこっとだけ舐めるようにかじったら蓋を閉じて引きこもってしまうのだ。この野菜、人間が食べても大丈夫なのかなという一抹の不安…

侵略的外来種:最善の予防策と実践的な管理にむけてのツールキット

うーん、こんな訳でいいのか。誰かもっといい訳があったら教えて。 Global Invasive Species Programme (GISP)が出版している侵略的外来種へのいわば実践マニュアル。書籍としても入手可能だけど、PDFがダウンロードできる。とりあえず勉強してみたい人にお…

環境省と農水省のパブリックコメント

環境省と農水省で同時発表になってます。 平成17年12月9日 農林水産省 「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」に基づく特定外来生物の飼養等の取扱細目等の改正等に関する意見の募集(パブリックコメント)のお知らせについて http://w…

ヌノメカワニナ飼育中

移入種ヌノメカワニナを飼育しています。魚の餌には見向きもしないので野菜を与えてみた。水替えはしっかりとしないといけないが、ホウレン草、みず菜、キャベツ、白菜、チンゲンサイ、小松菜の6種類。餌にするのは少しだけでいいので、残りは自分の食べ物…

移入種の事例4.

(4)タイワンカワニナを含むヌノメカワニナ(Melanoides tuberculata) 東アジアから中東、北アフリカにかけて熱帯〜亜熱帯の広い範囲が原産の巻き貝。西インド諸島やブラジルで生物学的防除のために導入されたが、高密度に達して在来の貝類を駆逐してしまう…

移入種の事例3.

(3)コモチカワツボ (Potamopyrgus jenkinsi) ニュージーランド原産の小型の巻き貝。ヨーロッパの各地に侵入し、北米にも近年侵入した。国内では神奈川県や滋賀県などから報告がある。学名のPotamopyrgus jenkinsiはPotamopyrgus antipodarumのシノニムで…

移入種の事例2.

(2)フロリダマミズヨコエビ (Crangonyx floridanus) 北米原産のヨコエビ(甲殻類)。アメリカの西海岸への国内移入が報告されている。ヨーロッパでは同属のCrangonyx pseudogracilisの移入が報告されている。国内では多摩川流域などから報告があり、現在…

移入種の事例1.

(1)シナヌマエビを含むカワリヌマエビ属外来個体群 (Neocaridina denticulata supsp. Complex) 日本には在来種としてミナミヌマエビが南西日本に分布しているが、アクアリウムでの飼育や釣り餌としての利用のため中国などから亜種のシナヌマエビなどが輸…

特定外来生物等の選定に係るパブリックコメント

環境省報道発表資料の平成17年8月11日付『特定外来生物等の選定に係る意見の募集(パブリックコメント)について』に対して環境省自然環境局野生生物課宛てコメントを電子メールで提出した。この手の作業はつい締切ぎりぎりになってしまうのがいつものパター…