ヌノメカワニナを用いた生物学的防除

すみません文献メモ置き場にします。

Pointier, JP (2001) Invading freshwater snails and biological control in Martinique Island, French West Indies. Mem Inst Oswaldo Cruz, Suppl. 96: 67-74.*1


要約;カリブ海のマルチニーク島*2には過去50年間に8種の巻き貝が移入された。ヒラマキガイ科の4種(Biomphalaria straminea, Helisoma duryi, Amerianna carinata and Gyraulus sp.)とトウガタカワニナの3種(Melanoides tuberculata, M. amabilis and Tarebia granifera)とリンゴガイ科の1種(Marisa comuarietis)である。これらのうち4種はマルチニーク島の水系に急速に定着したが、残りの4種は特定の場所にのみ定着した。侵入過程は過去20年間については明らかになっており、(1).ヌノメカワニナのいくつかのモルフが1980年代のはじめに急速に侵入し、(2).トウガタカワニナ科の2種が1991年と1997年に導入され、(3).この2種が急速に島中に分布拡大した。ヌノメカワニナは偶発的に侵入してから、住血吸虫*3の宿主となる2種の巻き貝(B. glabrata and B. straminea)の生物学的防除のために用いられた。1980年代初めまで住血吸虫の感染場所だったクレソン畑で実験が行われ成功を収めた。2000年に行われた全島調査ではうち1種(B. glabrata)が確認されず、もう1種(B. straminea)も僅かに残存するのみであった。マルチニーク島で行われた長期にわたる研究からトウガタカワニナ類は相対的に安定した個体群を長期にわたって維持し、宿主となる巻き貝の再定着を妨げることができる。マルチニーク島の水系におけるトウガタカワニナ類の侵入により住血吸虫の中間宿主に対する効率的で持続的な防除を行うことができた。

あまりいい訳ではありませんが、誰かコメントあったらよろしく。寄生虫関係はよう分からん。


リンゴガイ科の1種(Marisa comuarietis)が紹介されているけど、ちょっと見た感じはヒラマキガイ科っぽいので間違える人がいるかもしれません。


この文献の70ページに、単為生殖するヌノメカワニナの2系統のモルフ間のHybridという表現があって解釈に困る。ひょっとしてたまに有性生殖するのか? えーと元の文献はまだ入手していないけど、誰かこの雑誌手近にありませんかね。

Samadi, S; Mavarez, J; Pointier, JP; Delay, B; Jarne, P. 1999. Microsatellite and morphological analysis of population structure in the parthenogenetic freshwater snail Melanoides tuberculata: insights into the creation of clonal variability. MOLECULAR ECOLOGY 8 (7): 1141-1153.


*1:http://memorias.ioc.fiocruz.br/96sup/14x.pdf

*2:フランスの海外県、面積1100km2、小アンティル諸島に属する火山島、熱帯性海洋気候

*3:『充血吸虫』と誤変換していて、m-urabeさんに指摘を受ける。以後気をつけよう。