2種のCrangonyx

甲殻類ヨコエビの仲間で、フロリダマミズヨコエビが日本の川に移入して増えているという話しだ。今度の陸水学会松山大会でも発表が2件ある。ヨコエビというと日本ではきれいな水の指標として使われてきたが、この種は汚染などに強くて、いろんな場所で見つかるという話しだ。


学名が、Crangonyx floridanus、検索かけるといろいろ文献がひっかかってくる。


ところが、前に文献サーチしているときに気がついたけど、ヨーロッパに移入しているのは同じCrangonyx属でも別の種Crangonyx pseudogracilisだ。この両種の原記載論文はまだチェックしてないが、Pennak(1989)、p.480-485の検索表を見る限り、14.-15.と隣にあり、似ていそうだ。素人目には区別つかないかも。"posterior corner of first abdorminal side plate strongly mucronate"で14.に落ちるのが、C. floridanusの方だ。このとんがり具合をチェックしてないと見落とす可能性がある。


ちなみにPennak(1989)によると、C. floridanusはその名の通りフロリダなどに分布するが、C. pseudogracilisの方はアメリカの東北部の州に点在し、uncommonであると書いてある。地理的分布から察するに、C. floridanusの方が南方系で、C. pseudogracilisの方が北方系。日本国内でも水温の低い地域で採集されたCrangonxはチェックする必要があるかもしれません。まぁ、生存温度条件を調べてみない限り確かなことは言えませんが。

Crangonyx pseudogracilis Bousfield, 1958
http://www.bioimages.org.uk/HTML/T20731.HTM
http://www.nbi.noaa.gov/itis.aspx?tsn=95082

Common nameが"northern river crangonyctid"だって!

Crangonyx floridanus Bousfield, 1963
http://www.cbif.gc.ca/pls/itisca/next?v_tsn=193516
http://www.nbi.noaa.gov/itis.aspx?tsn=193516

こっちは"Florida crangonyctid"、ベタやなぁ。


(追記)と思っていたら、別の論文(Dick et al., 1998)にいやなことが書いてある。Crangonyx pseudogracilisは北アメリカの東部の川で、『夏の暖かいときに水草が生えているような環境』、詳しくはBousfield 1958, 1973って。